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ファーウェイは「HarmonyOS」で、“スマートフォン以外”の端末に独自の進化をもたらすか

多数の新製品を2021年6月に発表した中国のファーウェイ(華為技術)。ワイヤレスイヤフォンからモニター、スマートウォッチ、タブレット端末まで多数の製品が披露されたが、大方の予想ではスマートフォンのフラッグシップモデルが発表するはずだった。ところが実際のところ、ファーウェイが発表したのはそれ以外のすべてだった。

「それ以外のすべて」と書くと、ファーウェイがスマートフォン分野での負けを認めたかのように聞こえてしまうかもしれない。だが今回は、ファーウェイが中国の外で実際に勝利する可能性のある競争を戦っていると解釈したほうがいいかもしれない。ファーウェイがAndroidに対抗してリリースしたOS「HarmonyOS」にも、同じことが言える。

HarmonyOSは中国名を「鴻蒙」といい、19年8月に初公開された。6月の発表会でプレゼンテーションしたのは、ファーウェイのコンシューマービジネスグループの最高経営責任者(CEO)である余承東(リチャード・ユー)である。

ファーウェイは「HarmonyOS」で、“スマートフォン以外”の端末に独自の進化をもたらすか

ユーは、テレビからウェアラブル端末、スマートフォン、スマートグラスに至るまで、デヴァイス間の統合について大胆な展望を示した。彼によると、HarmonyOSは無線経由(OTA)でAndroid端末に配布する準備を整えていたという。タイミングは完璧だった。グーグルとの取引制限がちょうど始まったばかりで、ファーウェイにとって最新のフラッグシップであるスマートフォン「HUAWEI Mate 30 Pro 5G」がそうした制限の影響を受けていたからだ。

発表会での説明によると、HarmonyOSはファーウェイのスマートテレビ「Vision」にも搭載されていた。ところが19年当時、市販のスマートフォンに搭載できるようなOSはまだ完成していなかった。

酷評されていたHarmonyOS

ここで時計の針を21年1月まで戻そう。このときスマートフォン向けHarmonyOSの新しいベータ版が中国でリリースされた。限られたテスターに公開されたそれは、ファーウェイのAndroidインターフェース「EMUI」とほぼ同じだった。

ベータ版は「Androidの二番煎じで新しい部分も皆無」と酷評され、「グーグルなき世界」の嵐に耐えるファーウェイの力を信じる気持ちは、この時点で史上最低となっていた。カレンダーは「Google カレンダー」と統合されていないうえ、「HBO Max」など「Google Play開発者サービス」が必要なアプリは利用できず、WhatsAppも対応していなかった。

3月には折り畳み式のスマートフォン「HUAWEI Mate X2」が発売された。ところが、OSはHarmonyOSではなくAndroidで、販売は中国国内のみだった。この時点で、多くの人がHarmony(のみならず海外向けのファーウェイのスマートフォン)を全体的に見限る時期だと感じたのである。