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では、今回バルミューダがスマートフォンを手がけた理由は一体どこに? それは、寺尾氏の原体験にあった。
バルミューダを創業する前、20代のほぼすべてをミュージシャンという夢のために費やした同氏。「ポケットには1000円あればいいほうで、700円でハッピー、300円だと心もとない。そんな日々を送りながら、必死でロックスターになろうとしていた」と当時を振り返る。
そんな日々の中で寺尾氏は、パソコン黎明期のシリコンバレーに関する書籍を読んで刺激を受ける。
ロックスターという夢を諦めた同氏が、「夢を諦めたが人生が終わったわけではない。科学技術と自分のクリエイティビティを紐付けてみよう」という思いで立ち上げたのがバルミューダだった。
ノートパソコンの冷却スタンドから始まったバルミューダのものづくりは、前述のように今や多岐にわたるものとなった。
製品ラインアップを拡充しながら、さまざまな経営危機を乗り越えてきた寺尾氏は、2020年の正月にある思いを抱いたという。
同氏は「(2020年の正月に)初めて『この会社はしばらく潰れないだろう』と感じた。そこで自分が一番やりたかったことを振り返って『パソコン』が思い浮かんだが、すでにパソコンは手のひらサイズになっていた」と語り、「BALMUDA Phone」開発の経緯を振り返った。