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パソコン周りの掃除、していますか?
環境、コスト面から「缶スプレーよりもおすすめできる」と米GizmodoライターのTom McKayが提案するのは、電動のエアダスター。強力な風で、キーボードの隙間などに溜まったほこりやちいさなゴミを吹き飛ばしてくれるというものだそうです。
今回は「XPOWER A-2 Airrow Pro」を試してみたとのこと。実際に使ってみたレビューがこちらです。
どうしてエアダスターをレビューしているの? と疑問に思う人もいるかもしれません。「XPOWER A-2 Airrow Pro」を使うことにしたのは、よくパソコンの掃除に使われる缶スプレー型のエアスプレーは高いのと、ゴミになり環境によくないので避けたいと思っていたからです。
Gristによれば、1987年に国際条約でクロロフルオロカーボン(CFC)の使用が禁止されて以降、代わりにハイドロフルオロカーボン(HFC)が缶スプレーに使用されています。こうして、それぞれ「二酸化炭素の気候変動の可能性の1,300倍、140倍」という化学物質「HFC-134a」や「HFC-152a」が含まれることに。「HFC-134a」の製造プロセスはまた、有毒だと考えられています。1缶に含まれるのはごくわずかなのと、さほど頻繁に買い替える必要があるわけでもないかもしれませんが、それでも積み重ねれば結構な量になるはずです。
そんなことから、代替品として使えるかもと思ったのが「XPOWER A-2 Airrow Pro」。まず50ドルという価格は、缶スプレーよりもコスト高かもしれませんが、じつは他社モデルよりも安め(たとえばDatavaxは86ドル)です。500ワットのモーター搭載で、1分で約2.5立方メートルの空気の流れを生成するという一方、充電式バッテリーや静電放電保護などの機能については記載なし。でも、使ってみるとかなり便利なことがわかりました。
XPOWER A-2 Airrow Pro
これは何:基本的には、ちいさな"落ち葉掃除機"。
いくら:50ドル
好きなところ:長期的なコストが抑えられる。宣伝通りの仕事をしてくれる。シンプル。簡単。楽しい。
好きじゃないところ:アタッチメントが安く、「高」設定にするとちょっと動きが怪しい。
「XPOWER A-2 Airrow Pro」には、あらゆる隙間に対応できるアタッチメントがついています。速度設定は2種類。どちらもパワフルです。低速設定で標準ノズルを使うと、音が大きくパワフルで、ほこりやペットの毛などパソコンの隙間に隠れていたちいさなゴミたちをブワーッと吹き出してくれました。
冷却装置、電源まわりやケース裏 …これまでの経験から言って、ほこりというのは目に見える以上に多くの量が束となってありとあらゆる隙間に隠れていることがよくあります。ほら、この通り。
これだけパワフルなので「高」設定にせずともほこりのかたまりを吹き飛ばしてくれます。電気製品周辺のほこりは、空気の流れを制限し、内部に熱を閉じ込めることがあるので厄介。うちのオーバークロックのRyzen 2950x CPUは空気の流れがわるく、たまに70度という異常な高温に達することもありました。それがこれでほこりをとったあとは、5〜10度と、タスクによってバラつきますがちゃんと低温で動作するように。さらには冷却に使えるケースファンを買って完全に問題解決したのですが、空気の流れがよくなるとまたほこりの蓄積が速くなることもあると思うので、引き続き「XPOWER A-2 Airrow Pro」にはお世話になる予定です。
圧縮空気でケースやコンポーネントのファンをきれいにしようとするときは、必要以上に速く回転させて機械を損傷させる可能性もあるため注意が必要です。ファンを静止位置に留めておくことで危険が回避できるならば念のため気をつけておくのが得策です。いずれにせよ「XPOWER A-2 Airrow Pro」を「低」設定でべつの場所に向けているあいだ、ケース内のすべてのファンが回転する…というようなことはなかったです。
同様に、送風機からの静電放電によってコンポーネントが損傷するリスクに関してはこれまでに多く議論されてきました。大量のユーザーレビューをチェックしてみましたが、これが問題であるというエビデンスは見つからず。ただ、使用時には機械からある程度離しておくこと、一定の場所に集中して空気をあてないことなどの注意をしておくと良いかもしれません。
もっとも、「XPOWER A-2 Airrow Pro」について気になったのはアタッチメントのほうです。いくつかのレビューによれば、しっかりと取り付けないと飛んでいってしまうこともあるとか(実際、私も数度経験しました)。
また、より細やかな部分に使えるアタッチメントや「高」設定を使用するとモーターからの熱の分散がうまくいかないのか、ブロワーを触ると熱くなることも。このことからも、長時間使用には向いていないと判断できそうです。端のほうから火花が飛び出したり、ユニットから燃えるようなにおいがしたりしたというレビューもありました。
パワフルな風で吹き飛ばされたほこりが飛び散り、吸気フィルター(洗える)に吸い込まれるということも起きます。設計の問題ではないとは思いますが、これにより機械が熱くなったという可能性もありそうです。逆を言えば、このほこりをこまめに取れば、さほど心配する必要はないのかもしれません。
さて、そんな「XPOWER A-2 Airrow Pro」ですが、電子機器の内部を掃除するためだけのものではありません。キーボードやマウスに関しては、ほこりだけでなくキーの下に落ちたパンくず、髪の毛といったちいさなゴミも見事に出してくれました。
ただ、側面についた(きっと何層にもこびりついたような)頑固な汚れに関しては、強さをマックスに設定しても、アタッチメントのブラシを使用してもなかなか落ちなかったです。何が言いたいかというと、これ一台でさっぱりきれいになるというよりは、汚れがひどい場合にはもう少し手間暇かけて掃除する必要があるということ。究極の場合、取り外し可能で洗えるシリコンのカバーや、専用の食器洗い機に対応したキーボードを検討してみても良いのかもしれません。
「XPOWER A-2 Airrow Pro」はそのほかにもあらゆるニッチな場所をきれいにするのに便利ですが、おそらく実際には、汎用の掃除ツールとして使用することがあるかというとそうでもなかったりします。というのも、軽いものや取扱注意なものはすべてほこりと一緒に吹き飛ばしてしまう危険性があるから。
また、3メートルのコードは家中のものをきれいにするには十分な長さではないです。今回はテストできませんでしたが、風船やタイヤなどに空気を入れて膨らませることもできるそうです。ということは、ちょっとした空き缶とかも吹き飛ばせるのかも…と思いましたが、やめておきましょう。
50ドルという価格のわりに、実際に使える場面が少ないとなると、やはりどうなのかなーと思うところはあるかもしれません。ただ先述の通り、ほかのエアダスターと比べたら安価で手に入りやすく、使い捨ての専用缶スプレーと比べたら数カ月ごとに買い換える必要もないので、長期的に使うとしたら「XPOWER A-2 Airrow Pro」などの電動エアダスターは検討する価値アリですよ。
メモ
・電動のほこり対策エアダスター
・缶スプレーの代わりになる。パワフルで、長く使うほど長期的に出費を抑えられる。
・バッテリー式ではない。「静電気防止」とは書かれていない。
・アタッチメントは安っぽくて、吹っ飛んでしまうことも。
・パソコンなどのデバイスのお手入れが面倒になるかも。
・おそらく、アーク溶接機と化すリスクはごくわずか。