米司法省が中国ファーウェイを起訴 ...

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米司法省が中国ファーウェイを起訴 制裁逃れや企業技術窃取で

米司法省は28日、中国の情報通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と、同社創業者の娘で最高財務責任者(CFO)兼副会長の孟晩舟容疑者(46)を起訴した。銀行詐欺、通信詐欺、司法妨害のほか、米通信機器大手Tモバイルから技術を盗もうとした罪に問われている。

孟副会長は昨年12月1日、米国の要請に基づいて、イラン制裁違反と関連した詐欺の容疑で逮捕された。副会長とファーウェイは全ての容疑を否認している

この逮捕をめぐり、中国とカナダ、そしてアメリカの関係が悪化している。

ウィルバー・ロス米商務長官は記者会見し、「中国企業はもう何年も前から我が国の輸出法を破り、制裁に違反し、自分たちの違法活動の便宜のために米金融制度を利用してきた。それはもう終わりだ」と述べた。

容疑内容

ファーウェイに対する罪状は全部で23件に上る。

訴状によると、ファーウェイはイランとの取引を行うために、ファーウェイ関連会社ファーウェイ・デヴァイスUSAとスカイコムの2社との関係について、アメリカと海外の銀行を欺いた。

トランプ米政権は、2015年のイラン核合意から米国が5月に離脱したことを受け、イランおよび同国と貿易関係にある各国を標的とした制裁を全て再発動させ、昨年11月には石油輸出、船舶、金融など経済の重要部門全てが含まれる「史上最強」の制裁を科している。

2つ目の起訴では、ファーウェイが耐久性テストに使用するためにTモバイルの技術を盗み出した罪と、司法妨害および通信詐欺の罪に問われている。

ファーウェイは、Tモバイルがスマートフォンの品質試験で使っていた「タッピー」と呼ばれるロボットに関連する技術をが盗んだとされる。

起訴の背景

世界的な情報通信機器大手ファーウェイは、昨年4-6月期に米アップルを抜いて、スマホ市場で韓国サムスンに次ぐ世界第2位となった。

米司法省が中国ファーウェイを起訴 制裁逃れや企業技術窃取で

しかし、欧米諸国では、ファーウェイの技術がスパイ目的で中国政府に利用される可能性があることから、ファーウェイの安全性への懸念が高まっている。米政府は、各企業と各国に対し、ファーウェイ製品を購入しないよう呼びかけている。

一方のファーウェイ側は、中国政府からの統制は受けていないと主張し、疑惑を否定している。

孟副会長は昨年12月1日、カナダ西部・バンクーバーでアメリカ側の要請に基づき逮捕された。

10日後の昨年12月11日、カナダ・ブリティッシュコロンビア上級裁判所は同氏の保釈を決定した。保釈金は1000万カナダドル(約8億5000万円)で、副会長は24時間の監視下に置かれ、足に電子タグを着用することが求められている。

今回の米司法省による起訴の直前の26日、カナダのジャスティン・トルドー首相は、中国との外交的対立が続く中、アメリカの引き渡し要請には深刻な欠陥があるなどと発言し批判を招いていたジョン・マッカラム駐中国大使を解任したと発表している。

ファーウェイ創業者の娘逮捕に中国は激怒している。

昨年12月の逮捕から数日後、中国はカナダ人の元外交官マイケル・コヴリグ氏と、実業家のマイケル・スペイヴァー氏2人を拘束した。孟副会長逮捕への報復措置とみられる。

そして今月14日には、中国で薬物密輸罪に問われた別のカナダ人男性、ロバート・シェレンベルク被告に死刑が言い渡された。

シェレンベルク被告は昨年11月に懲役15年の判決を受け、控訴していた。

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緊迫する米中関係

米中関係の冷え込みは今に始まったことではない。

トランプ米政権は、すでに2500億ドル(約27兆3015億円)相当の中国輸入品に関税をかけて、中国も報復措置で対抗するなど貿易戦争は加速する一方だった。

そうした中、米中は貿易協議を前進させるため、今年1月1日から90日間は追加関税の発動を猶予することで合意した。28日には、中国高官が今週中に米ワシントンを訪れ、米中貿易戦争を終わらせるために協議する予定だと発表されている。

ロス商務長官は、現在進めている米中の貿易協議はファーウェイの起訴とは「まったく別物だ」と強調している。