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「手っ取り早く文章力をアップデートしたい!」。しかし、文章が上手くなりたいと思っても、いったいどこから手を付けていいのかわからない……。
私は、そんな悩みを抱えた5万人以上のビジネスパーソンなどに、文章のノウハウを伝えてきました。
これから紹介する「5つの文章のコツ」を知るだけで、あなたの文章はさらに伝わりやすくなります。「ダメな文章(ダメ文)」と「改善された文章」の具体的なビフォー・アフターを比較しながら、解説していきます。
1.主語を「あなた」にする(シチュエーション:営業メール)2.「?」を乱用しない(シチュエーション:メール)3.1文は50文字以内(シチュエーション:ブログ)4.相手に負担を与えない(シチュエーション:Facebook/LINEメッセージ)5.「説教」しない(シチュエーション:ランディングページ)
ビフォー・アフターは、違いのコントラストを出すために、ダメ文ポイントをオーバーに表現している部分もありますが、比較しながら、あなたの文章のアップデートにお役立てください。
ポイント1:主語を「あなた」にする(シチュエーション:営業メール)
<ビフォー>突然のメールで失礼いたします。営業支援ツールを提供している株式会社◯◯の◯◯と申します。営業効率を高め、労力を最小化する「営業支援ツール◯◯」の無料モニター企画をスタートいたしました。そこで、モニターでご活用いただける企業様を探しております。私個人としましては、御社がこのモニターに価値を感じていただけると思っております。ご返信をお待ちしております。ビフォーの文は、書いていないだけで、主語を入れてみると「私(弊社)」だらけの文章です。
突然のメールで失礼いたします。営業支援ツールを提供している株式会社◯◯の◯◯と申します。“弊社”では、営業効率を高め、労力を最小化する「営業支援ツール◯◯」の無料モニター企画をスタートいたしました。そこで、“弊社”はモニターでご活用いただける企業様を探しております。“私”個人としましては、御社がこのモニターに価値を感じていただけると思っております。“私は”ご返信をお待ちしております。
どうでしょう、おおげさな例文ではありますが、「私(弊社)」すぎると読む気がなくなる感覚を共有できたでしょうか?
書いていないだけで、主語を入れてみると「私(弊社)」だらけの文章は多いです。残念ながら多くの場合、自分視点の文章は、読み心地がよいとは言えません。
<アフター>突然のメールで失礼いたします。営業支援ツールを提供している株式会社◯◯の◯◯と申します。営業効率を高め、労力を最小化する「営業支援ツール」の無料モニターに興味はございますか?御社の業界・業態でも、◯◯や◯◯といった多く成果が出ており、モニター活用の期間だけでも結果が出ております。ご検討いただけるようでしたら、ご返信いただけますと幸いです。[改善ポイント]主語を「私」から「あなた(御社)」に換えたり、<読み手視点>に切り替えることで、相手に読まれやすく、届きやすい文章になります。まずは1文だけでも、「私」が主語の文章を、「あなた」が主語の文章に換えてみると、その違いにきっと驚きます。
主語を置き換えだけで新しい発想やアイデアが浮かんでくることもありますので、ゲーム感覚で楽しみながら、お試しください。
ポイント2:「?」を乱用しない(シチュエーション:メール)
<ビフォー>先日は、ありがとうございました。その後、いかがでしょうか?実際にお試しいただいて、どちらのプランが良さそうでしょうか?機能制限がありますが、リーズナブルにスタートできるAプランでしょうか?もしかしたら、すべての機能が使えるBプランかもしれませんね。御社のさらなる業務効率化のために、便利な機能や活用事例などをお話させていただけないでしょうか?よろしければ、日程をいくつかいただければと思いますが、ご都合はいかがですか??短い文章の中に「?」が5箇所もあります。「?」が続くと、尋問されているような気分になり、読み手は不快感を覚えます。
また、「??」のように「?」を重ねる方もいますが、文字に敏感な人には、コーナーに追い詰められているようなプレッシャーを感じさせてしまいます。
疑問形「?」は、読み手を引き込むための有効な手段ですが、多用しすぎないように気をつけましょう。
[改善ポイント]アフターのように「?」をひとつも使わなくても、同じことを伝えることができます。「?」を使うと書き手は楽に書ける、というメリットがありますが、その分だけ読み手に負担をかけると思っておいたほうがよいです。
また、「?」が乱用されている文章は、何を知りたいのかがあいまいになり、コミュニケーションギャップを起こしやすいリスクもあります。
ポイント3:1文は50文字以内(シチュエーション:ブログ)
<ビフォー>メルマガの解除やLINEでブロックされるとガックリきてしまい配信するのが怖いという方が多く正直私も怖いのですが解除やブロックをあまり深刻に捉えずに継続して読んでくれる読者さんに向けて一生懸命お伝えしていければプラスのエネルギーに転換することもできますので配信が怖いと思ったときは「まぁいいや次がんばろう」と気楽に考えることをオススメします。[ダメ文ポイント]句読点や改行のない、まるで「石版」のような文字の塊は、読み手を疲れさせます。日本人の多くは黙読するときにも、頭の中で音読していると言われています。句読点や改行が少ないと息つぎができず、息苦しくなることで、読み手が離れていってしまいます。
[改善ポイント]ビフォーは、1文が170文字もあります。1文が長くなるとそれだけに伝わりにくい文章になります。1文が50文字を超えないように句点「。」を入れましょう。
基本は「1文=1メッセージ(1文1意)」です。
あなたが書いた文章を音読したときの区切りや息づきするところに、読点「、」あるいは改行を入れてみましょう。考えすぎると、書きにくくなってしまいますので、いい意味でテキトーでOKです。
読みやすい、と思う文章に出会ったときには、そういったポイントも参考にすると、徐々にコツがつかめてきます。
ポイント4:相手に負担を与えない(シチュエーション:Facebook/LINEメッセージ)
<ビフォー>こんにちは、◯◯です。先日はお会いできてうれしかったです。いろいろお話させていただき、ありがとうございました。その際、話題になりました新商品がいよいよ販売開始になり、◯◯が◯◯に改善すると、お客さまにもすごく喜んでもらっています。きっと、◯◯さんにも気に入っていただける商品かもしれないなぁとふと思い、メッセージさせてもらいました。どうぞよろしくお願いいたします。[ダメ文ポイント]相手が新商品の話題について覚えていることが前提になっています。
特に多くの人と同時に出会ったときは、相手に覚えてもらっていることを前提にすると、コミュニケーションが難しくなることがあります。
また「よろしく」と言われても、いったいどう返信したらいいのかに迷ってしまいます。「相手に考えさせる」という負担が多いほど、その負担の数だけ関係性は薄れていきます。
[改善ポイント]冒頭の挨拶を少し詳しくするだけで、その日のイメージが思い出せるので、「誰だっけ?」と、あれこれ悩む必要がなくなります。そして、「いろいろ」とコピペでごまかせる曖昧さではなく、「とりわけ」と具体的な内容があることで、さらに記憶が鮮明に蘇ってきます。
その後、改めて商品について簡単な説明を加え、モニターとその感想について検討してもらい、お返事いただけるように、具体的に伝えています。
ここまで盛り込む必要はありませんが、相手に余計な負担のないように考えて書いた想いや気遣いは、文章から伝わっていきます。
ポイント5:「説教」しない(シチュエーション:ランディングページ)
<ビフォー>「どうしてできないの⁉」「何回言ったらわかるの⁉」「ちゃんとして⁉」子供が萎縮し、才能を伸ばせなくなる言葉を、あなたはついつい言っていませんか? 特に時間に追われているときに、無意識に子供に浴びせてしまう方も多いです。子供も賢くて、いつも言われていると、その場しのぎでそれ以上言われないように行動するか、聞き流す技術を身につけるかして、ちっとも改善してはいきません。どうして、お子さんはできないのでしょうか⁉それは、どうやってやったらいいのかを、あなたが教えていないからです。[ダメ文ポイント]何かを伝えるとき、「正しさ」はもちろん大切ですが、真実の言葉は、ときに人を傷つけ、攻撃する武器になります。
例文は、子育て教材の販売ランディングページのものですが、書き手(販売者)の立ち位置や立場、状況、キャラクターによっては、ビシッと伝えることが効果的に響く場合があるかもしれません。
しかし、わざわざ説教をされてまで、何かを購入したいとう人は少ないです。
[改善ポイント]「あなたは悪くない」という前提に立って文章を書くためのひとつの方法は、自分の失敗談として語ることです。失敗談であれば、それを鏡にして、素直にメッセージを受け取りやすくなります。
読み手に思いを寄せ、「その人の今のネガティブな状況が、もしどうしようもなかった結果だとしたら?」「相手は悪くないとしたら?」と考えてみると、相手を悪者にせずとも、本来の伝えたいメッセージを届けることができるようになります。
変化を感じると文章が楽しくなり、ますます上手くなっていきます。ピンときたものをひとつでも取り入れ、ぜひその変化を感じてみてください。
人は見た目で判断する、と言いますが、1億総メディア時代の現代では、「人の価値は文章で判断される」と言っても過言ではありません。今回ご紹介いたしました5つのコツで、ピンとくることがありましたら、ひとつでも取り入れてみてください。
----------中野 巧(なかの・こう)株式会社studio-K 代表取締役社長エンパシーライティング開発者。『エンパシーデザイン・ラボ』主宰。大学の建築学部と積水ハウスでの設計業務で培われた「建築」知識と「文章」との共通点を見いだす。「共感力」を磨くことが文章力、マーケティング力、コミュニケーション力、企画力などの仕事力を高めると考え、独自の文章メソッドを「エンパシーライティング(R)」を開発。企業研修や教育機関などで活用されている。近著『稼ぐ人の「超速」文章術』(Discover 21)。----------
(株式会社studio-K 代表取締役社長 中野 巧)