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ファーウェイが2月24日深夜(日本時間)に開催したバーチャル新製品発表会では、昨今同社が力を入れるノートPCも多数発表されました。注目されていたOSは、しっかりWindows 10を搭載。さらに一部機種はOffice 365プリインストールモデルも用意します。イベント中では、最上位となる13.9インチ高級モバイルノートPC『MateBook X Pro』と、ホーム用も担う普及モデル『MateBook D 14/15』3シリーズの2020年版を発表。さらにWebサイトでは、中位モデルとなるモバイル機『MateBook 13/14』2020年版も発表されています。つまり驚くべきことに、同社製ノートPCの全シリーズが一挙に2020年版に更新されることになります(なお、MateBook 14は日本未発売)。共通の特徴は、CPUをインテル製第10世代Core iの一つ"Comet Lake"に刷新した点。DシリーズではAMD製Ryzen搭載モデルも追加されました(TDPはCore i、Ryzenともに、また全シリーズ共通で15W版)。
基本性能を強化したMateBook X Pro 2020
MateBook X Proは、解像度3000×2000/アスペクト比3:2(いわゆるSurfaceタイプ)のタッチ対応液晶を搭載する、ファーウェイ製ノートPCの最上位モデルです。公開された本体カラーはスペースグレイにミスティックシルバー、そして新色エメラルドグリーンの3種です。
今回の更新は、本体の設計こそ現行モデルから継承するものの、CPUはComet Lakeの上位となる、Core i5-10210U/i7-10510Uへと刷新。処理速度の向上を図りました。また現行機種と同様、上位グレードでは単体GPUとしてNVIDIA製『GeForce MX250』も搭載します。本体サイズは304×217×14.6mm(幅×奥行き×厚さ)、重量は1.33kgと、重量こそ若干重めなものの、十二分にモバイルノートと呼べるサイズ感です。イベントで発表されたEU圏向けモデルは3グレード。1499ユーロのモデルがCore i5-10210U/RAM 16GB/SSD 512GB(PCI Express接続-NVMe)の構成。これにGPUとしてMX250を加えたモデルが1699ユーロ。Core i7-10510U/16GB/1TB SSD/MX250という「全部入り」が1999ユーロとなります。
初代機(2018年発売)から引き継ぐ大きな特徴は、昨今のトレンドであるナローベゼル(狭額縁)画面と、キーボードの最上段(Fキー段)に配置されたポップアップ型のWebカメラです。初代から約2年が経過していることもあり、最新トレンドの4辺ナローベゼル設計ではありませんが、底面側公称の画面占有率は91%と、いまだに高いレベル。トレンドセッターとなっているデル『XPS 13』2020年モデルは91.5%のため、実はほぼ変わりありません。カメラの配置トレンドは天面側に戻りつつあるため、この部分は差し引いて考える必要がありますが、「元祖・ほぼ画面」ノートPCの実力は衰えず、と言ったところでしょう。またUSB端子は、USB Type-C×2基 (双方ともに電源、DisplayPort Alt Mode兼用)に加えて、USB Type-Aも1基(5Gbps)を搭載します。ライバル機で搭載が増えてきたThunderbolt 3こそ非対応ですが、Type-A搭載が少なくなりつつある中、しっかりと確保しています。
基本性能の面でも現行と変わらず、モバイルノートPCとしては(他社と比較しても)最上位クラスとなります。高級機用Comet Lakeの本命ともいえるi7-10710U(このモデルのみ6コア12スレッド対応)の搭載モデルがない点は残念ですが、現行機ユーザーからの評価が高い液晶パネルのアスペクト比や品質も継承していることなどから、今世代も安定した人気となりそうです。
参考記事:ファーウェイがMateBook X Pro発表、キーボード部に跳ね上げ式カメラを備えた薄型ノートPC第2弾(2018年2月)開くとほぼ画面なノートPC MateBook X Pro実機レビュー。ファーウェイ渾身の完成度は大躍進を予感(2018年5月)
キープコンセプトなMateBook 13/14
イベントでは紹介されませんでしたが、Webサイトに2020年版が公開されたのが、スタンダードモバイルノートPCの(無印)MateBookシリーズです。画面サイズ別に、13インチモデルと14インチモデルを用意します。価格に関しては、現状では不明。ただしX Proが構成が近ければ現行モデルと似た価格となることから、こちらも現行モデルとは大きく変わらないと想定されます。
2020年モデルでの更新点はX Proと同じく、基本的にはCPUの世代交代と基本性能強化といったところ。具体的には、13/14インチともに『Core i5-10210U』と『Core i7-10510U』。さらに単体GPU搭載モデルでは、NVIDIA『GeForce MX250』が加わります(ここもX Proと同じ、かつ13の現行モデルとも共通です)。
関連記事:ファーウェイ、新MacBook Air対抗で9万円台の「MateBook 13」を3月15日に発売(2019年3月)
現行モデルに共通したシリーズの特徴は、液晶の解像度はX Proより下がるものの、アスペクト比は同じ3:2となる2160×1440仕様のパネルを搭載する点(この仕様は13/14インチ共通です)。画面占有率は、13インチが88%で14インチが90%と、X Proほどではないもののかなりの高レベル。さらにWebカメラはX Proよりも使いやすい、画面上部(天面側)となる一般的な配置です。さらに13インチでは1.3/1.32kg、14インチは1.49/1.53kg(双方とも前者は単体GPU非搭載モデル、後者がGPU搭載モデル)と、モバイルノートと呼べる重量をキープします。本体サイズは、13インチが286×211×14.9mm(幅×奥行き×厚さ)、14インチが307.5×223.8×15.9mm(同)。そして画面面積に次ぐ両サイズ間での大きな差は、バッテリー容量です。13が41.7Whですが、14では56Whと大増。公称駆動時間(ローカル保存したフルHD動画の再生時間)も、13が11.6時間に対して14は14.7時間と大きく伸びます。加えて、USB端子の構成も大差があり、13ではUSB Type-C×2基ながら、1基はフル機能+1基はデータ通信のみ(=電源入力と画面出力に非対応)という珍しい構成。対して14はUSB Type-Cが1基のみとなり、代わりにType-A端子が2基(USB 3.0+USB 2.0)となります。RAMは両サイズ共通で、8GBまたは16GB。ストレージは13インチがPCI Express接続の512GB SSD(14インチは不明ですが、共通と思われます)。このように無印MateBookは、画面解像度などを除けば、X Proにも近い基本性能を備えた、価格と性能のバランスを重視したモバイルノートPCという位置づけ。そうした特徴は2020年モデルでも受け継がれています。
「廉価版的な外観」を捨てたMateBook D 14/15
ここまで紹介したX Proと無印MateBookは現行モデルと外装が同じでした。一方、フルモデルチェンジとなったのが、MateBook D 14/15。ホームノートPCとしての位置づけも兼ねる、廉価版シリーズです。価格は14インチモデルが699ユーロ(Ryzen 5 3500U/RAM 8GB/512GB NVMe SSD)から、15インチが649ユーロ(Ryzen 5 3500U/RAM 8GB/256GB NVMe SSD)から。それぞれの最上位でも949ユーロと、ぐっと手頃感が増す設定です。
上位2モデルとの大きな差は、液晶がフルHD解像度、アスペクト比16:9という一般的な仕様となっている点。そのほかにも、本体の素材に一部マイラーが加わる(上位2モデルはすべてアルミ合金)など、ポイントを抑えたコスト低減に重きが置かれた構成です。2020年モデル最大の特徴は、上位2シリーズと同じく、3辺ナローベゼルの液晶パネルとX Pro譲りのキーボード面埋め込みWebカメラを搭載して外観を一新した点。画面占有率も、14インチで84%、15インチでは87%と、上位モデルに近いものとなりました。「ナローベゼルなれどビジネス向けノートPC的な」印象も受ける現行モデル(関連記事参照)と比べると、同じシリーズとは思えないほどの変わりっぷりです。
関連記事:ファーウェイ、価値がわかる玄人向けPC「MateBook D」発売。i7で9万円台の高コスパ(2017年9月)
またCPUには、インテルComet Lake搭載モデル(i5-10210Uまたはi7-10510U)に加えて、AMD製Ryzen 7 3700U/Ryzen 5 3500U搭載モデルも用意します。合わせて冷却機構も現行に比べて大幅強化。フィン形状をサメのヒレに近づけた「Shark Fin FAN」は、フィンブレードの数を現行モデル比33%増しとした第2世代となったことで、現行モデルに比べてエアフロー(流れる空気量)を27%増加させています。またユニークなのが、ホームノートPCとしては比較的軽量な点。15インチでも約1.62kg(SSD+HDDモデル)、SSDのみなら約1.53kgとそこそこ軽く、14インチに至っては約1.38kgと、上位2モデルとほぼ変わりありません。なおバッテリー容量は14が56Wh、15では42Whと、求められるモバイル性の違いもあってか、14のほうがかなり大きめです。駆動時間は現状では両サイズともに非公表。
一時期の暗雲を吹き飛ばす「全機種・一挙世代交代」
このようにMateBookシリーズ2020年モデルは、現行シリーズの備える特徴「ナローベゼルでスタイリッシュ、上位機種は3:2画面の使いやすさ」といった点を引き継ぎつつ、順当な強化を図っています。さらにフルモデルチェンジとなったMateBook Dでは外観が一気に洗練されたこともあり、基本機能など一部と合わせて、上位モデルに下克上を果たしそうな雰囲気さえも備えます。また、ファーウェイ製ノートPC全般を通して見ると、他メーカーに比べるとシリーズ自体が少ないとはいえ、最上位から最廉価モデルまでを一気にモデルチェンジした点も注目でしょう。
一時期は米国がマイクロソフト製ソフトウェアを禁輸対象としたことで(ただし2019年11月に解除されています)、「ファーウェイ製ノートPCはスマートフォン以上に販売が難しくなるのでは?」といった観測もありました。しかし今回の「一斉世代交代」は、そうしたムードを吹き飛ばすかのような力の入れ方です。
参考記事:ファーウェイ、PC販売継続か。米国がマイクロソフトのソフトウェア禁輸を解除(2019年11月)
細かく見ていくと、Comet Lakeの本命とも呼べるi7-10710U搭載モデルがない点などは気にかかりますが、それでも今回の勢いは、ファーウェイ製ノートPC健在を示して余りあるところでしょう。日本での展開と価格を含めて、楽しみなところです。
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