専門家に訊く、バッテリを長持ちさせ...

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専門家に訊く、バッテリを長持ちさせるための運用術

消耗品としてのバッテリ

 モバイルノートPCには、かならずといっていいほどバッテリが内蔵されている。そして、いまも変わらない常識として、バッテリは消耗品だ。

 ところが、本体の薄軽化のために、多くの場合、バッテリは取り外しができず、エンドユーザー自身が劣化などを理由に手軽には交換することができない。メーカーのサポートに連絡し、純正のバッテリに交換してもらう必要がある。

専門家に訊く、バッテリを長持ちさせるための運用術

 もちろん、それには交換のための技術料等のコストと、ある程度の時間がかかる。万が一のアクシデントが発生したときのリスクを考えれば、データのバックアップなどの手間もかけなければならない。数万円のコストをかけてでも、長年使ってきたPCを延命させるのか、それとも、新しいPCに買い替えるのかは、なかなか難しい問題だ。

 バッテリは消耗品だと書いた。充電と放電を繰り返すことで、蓄積できる容量が次第に減っていき、最終的に半分程度になったときが寿命とされることが多い。昨今のノートPCはバッテリで20時間近い駆動時間を確保できるが、それが半分になったときに寿命と判断されるわけだ。

ノートPCのバッテリ

 ただし、この充放電サイクルによる自然劣化は、理想的な状態でのバッテリ運用がされた場合のことであり、話はそうカンタンではない。

 たとえば、在宅勤務時には、モバイルノートPCをデスクの上に置いたまま、ACアダプタをつなぎっぱなしで充電しながら運用を続ける。場合によっては日中の作業時間のみならず、就寝時もアイドル状態で稼働を続けているかもしれない。

 この状態をバッテリから見ると、ほぼ満充電の状態が続き、ほんの少しバッテリが消費されたところで電力が補充されてまた満充電になるといった状態が繰り返されていることになる。充放電サイクルは、0%から100%までの充放電が何回行なわれたかを示す指数だ。98%と100%を行ったり来たりしても1サイクルの2%にしかならない。これを50回繰り返したところで1回の充放電が行われたとされる。

 0%と100%を繰り返すよりも、できるだけAC電源で使った方が、充電サイクルを消費しないので、結果として、バッテリが寿命を迎える時期を先送りにすることができるように感じるかもしれない。だが、そうは問屋が卸さない。