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Googleが10月28日、新型のAndroidスマートフォン「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」を発売しました。Pixel 6やPixel 6 Proは、従来のPixelシリーズとは何が違うのでしょうか。特徴をサクッとチェックしていきます。
Pixel 6 ProとPixel 6は今までのPixelや他のAndroidスマホとは何が違う?(出典:Google Store)スマホの基本ソフトウェア(OS)は、Appleが開発する「iOS」とGoogleが主導して開発する「Android」に大きく二分されています。前者はiPhoneシリーズに、後者はさまざまなAndroid端末に搭載されています。
Androidの開発を主導する立場から、Googleはかつて、複数の端末メーカーと「Nexus(ネクサス)」ブランドのスマホを共同開発していました。Nexusシリーズは新しいバージョンのAndroidにおける「リードデバイス」「リファレンスデバイス」という位置付けで、Androidアプリの開発者やアーリーアダプター層の一般ユーザーが新しいAndroidをいち早く検証できるスマホという色合いが強く出ていました。発売元は基本的に端末メーカーで、ユーザーサポートも端末メーカーが提供していました。
Nexusブランドのスマホとして最終モデルとなった「Nexus 5X」(左)は韓国LG Electronics製、「Nexus 6P」(右)は中国Huawei製だった。両者ともに2015年にAndroid 6.0のリードデバイスとして登場したNexusの後を引き継いで登場したPixel(ピクセル)シリーズは、Nexusシリーズと同様にAndroidのリードデバイスという位置付けを引き継ぎつつも、他メーカーのAndroidスマホに対する「Googleのスマホ」という位置付けを強く打ち出し、他メーカーのAndroidスマホにはない特徴的な機能を備えるようになりました。発売元も開発メーカーからGoogleに変更されました。
日本で発売されなかった初代の「Pixel」「Pixel XL」と2代目の「Pixel 2」「Pixel 2 XL」は、発売元こそGoogleですが、台湾HTC(Pixel 2 XLを除くモデル)と韓国LG Electronics(Pixel 2 XL)がハードウェアの設計で協力していました。
第2世代のPixel 2(左)とPixel 2 XL(右)までは、Googleが端末メーカーの協力を得つつ開発するという体制が取られた2017年、GoogleはHTCからPixelシリーズの開発チームを買収することで、スマホの完全な自社開体制を整えました(参考記事)。その成果である第3世代の「Pixel 3」「Pixel 3 XL」では「おサイフケータイ」に対応する日本専用モデルが投入されるようになり、現在に至っています。
2018年10月に発売された「Pixel 3」(左)と「Pixel 3 XL」(右)は、Pixelシリーズとしては初めて日本市場にも投入されました。ここから今回登場するPixel 6シリーズに至るまで、日本ではおサイフケータイに対応する“日本専用モデル”が販売されています「Googleのスマホ」としての位置付けをさらに強化するために、Pixel 6シリーズではGoogleが独自に開発したプロセッサ「Google Tensor」を搭載しました。
tensorは数学上の概念の1つで、カタカナでは「テンソル」または「テンサー」とされることが多いです(日本における学術用語としてはドイツ語読みに近い前者が使われます)。コンピューターの世界では機械学習のデータ処理で使われることが多く、Google Tensorはその名の通り、CPUやGPUとは別に機械学習処理を専門に行う「TPU(Tensor Process Unit)」を備えています。
Google独自プロセッサ「Google Tensor」のイメージ(出典:Google)スマホにおけるAI(人工知能)処理は、従来クラウド(インターネット上のサーバ)に任せることが多かったのですが、Google Tensorを搭載するPixel 6シリーズではオンデバイス(端末内部)でAI処理を“完結”できるようになりました。その主な成果は以下の通りです。
特にリアルタイム翻訳の応答速度の改善は効果てきめんで、対応言語の話者との会話を大きな遅延なくやりとりできるレベルになりました。また、レコーダーの文字起こし機能も、日本語に対応するものとしては精度が高めです。ごく一部を除き、アプリで再生する動画のリアルタイム文字起こし/翻訳も実現しました。
レコーダーアプリのリアルタイム文字起こしをオフラインで利用する場合は、事前に文字起こしをする言語のデータをダウンロードしておく必要があります。11月7日現在において対応する言語は「日本語」「英語(米国、イギリス、オーストラリア、アイルランド、シンガポール)」「ドイツ語」「フランス語」です。
Google翻訳のテキスト翻訳をオフラインで利用する場合は、事前に翻訳する言語のデータを事前にダウンロードしておく必要があります。会話翻訳はインターネット(データ通信)接続が必須ですが、言語データを事前ダウンロードしておくことで通信量が大幅に削減される上、応答速度も改善します。
機械学習処理を専門的に担うTPUを搭載したことで、オフラインでの文字起こしや翻訳も実用的に行えるようになりました。文字起こしには誤認識も見受けられますが、同種のアプリよりも意味が取りやすい文章にしてくれます(ただし、事前に言語データをダウンロードしておく必要があります)Google Tensorは、カメラセンサーが捉えた映像を処理するための「IPU(Image Process Unit)」も備えています。IPU自体は他のスマホ向けプロセッサにも搭載されるようになりましたが、Google TensorのIPUにはGoogleが培ってきた独自のノウハウがつぎ込まれているそうです。
Pixelのカメラの強みの「夜景モード」や「Live HDR+」機能は、このIPUによってさらに強化されています。また、Pixelシリーズの弱点として指摘されることも多かった動画撮影機能も、このIPUによってかなり強力になりました。特に動画撮影時の手ブレ補正機能は試してみてほしい所です。
カメラセンサー自体の改良に加えて、Google TensorのIPUによってカメラ機能は大幅に強化されているさらに、Google Tensorにはプロセッサ自身にセキュリティ機能を統合しています。アプリがこの機能を活用すれば、プライバシーに関わる情報のやりとりがより安心して行えます。
Pixel 6シリーズでは、このセキュリティ機能に加えて独立したセキュリティチップ「Titan M2」も備えています。「石橋をたたいて渡る」セキュリティによって、従来のAndroidスマホよりも外部からの攻撃に対する耐性が高まっています。
セキュリティアップデートも、従来モデルよりも長い5年間提供されます(※1)。スマホをより長く使いたい人にも安心です。
(※1)OSバージョンアップの保証は、従来通り3年間です
Pixel 6シリーズには「Pixel 6」と、その大画面モデルである「Pixel 6 Pro」の2モデルが用意されています。ただし、Pixel 6 Proはシンプルに「Pixel 6の大画面化したモデル」というわけではありません。主な違いを簡単に紹介します。
Pixel 6は6.4型、Pixel 6 Proは6.7型の有機ELディスプレイを備えています。違いはサイズだけではありません。以下に簡単に違いを記します。
端的にいえば、Pixel 6 Proの方がスペックの高いディスプレイとなっています。特にゲームをする人はPixel 6 Proの方が理論上の描画がスムーズになります。
Pixel 6 Pro(左)とPixel 6(右)のディスプレイは、サイズ以外にも違いがあるので注意しよう(出典:Google)Pixel 6とPixel 6 Proは、データを一時的に展開する「メインメモリ」の容量が異なります。
Pixel 6 Proは、Pixel 6よりもメインメモリが4GB多くなっています。画面解像度が上がった分増える消費容量を差し引いても、アプリをより快適に使えます。
Pixel 6とPixel 6 Proは、カメラの構成が若干異なります。
簡単にいうと、Pixel 6 Proはアウトカメラに光学4倍ズーム対応の望遠カメラが追加され、インカメラのスペックが向上しています。光学ズーム対応カメラの搭載は、Pixelシリーズとしては初めてです。より遠くを明瞭に撮影したい人や、自撮りで4K動画を撮影したい人はPixel 6 Proがおすすめです。
Pixel 6 Proは屈折レンズを使った望遠カメラを備えます(出典:Google)自社の「Google Store(グーグルストア)」での直販の他、Pixel 6はau(KDDI/沖縄セルラー電話)とソフトバンクで、Pixel 6 Proはソフトバンクでも販売されています。いずれの販路で購入した場合もSIMロックはかかっておらず、正規販売のないNTTドコモや楽天モバイルのSIMカードと組み合わせて利用することもできます。
Pixel 6とPixel 6 Proは5G通信に対応していますが検証が済んでいるキャリア(通信事業者)でのみ5G通信に対応する「ホワイトリスト」方式を採用しています。11月7日時点における国内キャリアの対応状況は以下の通りです。
auの場合はau 5G契約のSIMカードでのみ通信できます。au 4G LTE(VoLTE)契約のSIMカードでは通信できないので、特にau以外で購入した場合は契約変更手続きを必ず行ってください(手続き時に事務手数料が掛かります)。手続き方法によってはSIMカード(au ICカード)の交換も必要です。
Googleの直販サイトであるGoogle Storeでは、全色の全容量を購入できます。商品の代金はクレジットカード払いのみとなりますが、「Splitit」というサービスを使った疑似的な12回払いにも対応しています(※2)。
価格(税、送料込み)は以下の通りです。
(※2)購入時に本体代金分の与信枠(利用限度額)が確保されます。デビットカードやプリペイドカードでは本体代金が丸ごと即時引き落とされます。商品代金の12分の1が毎月返金されるような形となるため、デビットカードやプリペイドカードでの利用は推奨しません(※3)一部カラーのみ用意されています
auショップを含むau取扱店では、Pixel 6の128GBモデルのみ取り扱っています。KDDIが直営する「au Online Shop」での販売価格(税、送料込み)は8万2695円で、同社が直営する実店舗でも同額で販売されています。
商品の代金支払いは取扱店で利用できる方法の他、KDDIが用意する分割払い24回、36回、48回払いを選択できます(※4)。24回払いの場合は、残価設定型の「スマホトクするプログラム」も選択できます。同プログラムを利用した場合の残価(24回目の支払い額)は3万8880円で、特に申し出がない場合は自動的に残価を改めて24回払いすることになります(※5)。
(※4)au Online Shopでは、スマホトクするプログラムを含む24回払いのみ選択できます(※5)残価に対する分割払いは、改めて審査が行われます。残価に対する分割払いを希望しない(24回目で支払いを完了したい)場合は事前に申し出る必要があります
au Online Shopで詳細をチェック!ソフトバンクショップを含むソフトバンク取扱店では、Pixel 6とPixel 6 Proの全容量を取り扱っています。ソフトバンクが直営するソフトバンクショップと「ソフトバンクオンラインショップ」における販売価格(税、送料込み)は以下の通りです。
商品の代金支払いは取扱店で利用できる方法の他、ソフトバンクが用意する分割払い24回、48回払いを選択できます。48回払いの場合は、25カ月目以降に端末を返却すれば残りの分割支払金が免除される「トクするサポート+」を利用可能です。25カ月目に返却する場合は、端末代金が事実上半額となる計算です。
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