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2022年2月28日から4日間にわたってスペイン・バルセロナで開催された世界最大の携帯電話見本市イベント「MWC Barcelona 2022」。今回のMWCや併せて実施されたイベントなどを見ると、出展するスマートフォンメーカーの勢力図が劇的に変化している。気がかりなのはメーカーの勢いが落ちていることだ。
携帯電話業界最大の見本市イベントであるMWC Barcelona。新型コロナウイルスの影響を強く受けて中止や延期が相次いだが、2022年はスペイン・バルセロナのリアル会場と、オンラインでのハイブリッド開催となった。
日本は欧米などと比べ、海外渡航や出入国がまだ厳しく制限されていたこともあり、筆者は今回も渡航を見送りオンラインで取材した。だがオンラインで見ることのできるイベントや展示は2021年と比べかなり減少しており、リアルイベントに大きく比重が移っていると感じた。ウクライナ情勢もあり不安要素は増えているが、2023年はより多くの人が現地で参加できるよう環境が戻ってほしいものだ。
オンラインでの取材でも、今回のMWC Barcelonaにおける業界の変化はみられた。中でも筆者が注目したのはスマートフォンに関する動向であり、具体的に言えばスマートフォンの存在感がかなり低下したと感じたことだ。
その象徴といえる動きが、MWC Barcelonaに合わせて現地時間の2022年2月28日に実施された韓国Samsung Electronics(サムスン電子)と、中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の発表イベントである。なぜなら両社の発表ではパソコンが中心であり、スマートフォンの姿が見られなかったからだ。
実際サムスン電子はノートパソコンの「Galaxy Book 2」シリーズのみの発表にとどまったし、ファーウェイはやはりノートパソコンの「HUAWEI MateBook X Pro」や、2in1スタイルの「HUAWEI MateBook E」など、ノートパソコンやその周辺機器を発表の主軸に据えていた。
両社はここ数年来、プライベートイベントでスマートフォンのフラッグシップモデルを発表する傾向にあり、必ずしもMWC Barcelonaでスマートフォン新機種を発表するわけではなかった。だがスマートフォンを主力とする企業が、携帯電話のイベントでパソコンを相次ぎ発表する姿勢には、やはり首をかしげてしまう。
サムスン電子が「MWC Barcelona」に合わせて実施したオンラインイベントで発表したのは、スマートフォンではなくノートパソコンの「Galaxy Book 2」シリーズだった(出所:サムスン電子)[画像のクリックで拡大表示]この記事は会員登録で続きをご覧いただけます。次ページでログインまたはお申し込みください。
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