マスクを着けたままで顔認証が可能か

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マスクを着けたままで顔認証が可能か

新型コロナウイルス感染防止で四六時中着けるようになったマスク。マスクによる影響で気になるのが顔認証機能だ。マスクを着けていると顔認証は失敗するのだろうか。実際に試してみた。

今回の実験では、マスクの種類や着け方などを変えて顔認証が成功するかどうかを調べた(図1-1)。対象とした機器はiPhone 12とAndroidスマホ、Windowsパソコン。iPhone 12とAndroidスマホは標準の顔認証機能、WindowsパソコンはOSの認証機能「Windows Hello」と企業向けの顔認証専用のソフトを使った。また、OSやソフトは2021年8月時点で最新の状態にした(表1-1)。

図1-1●マスクの種類や装着方法を変えて顔認証今回実施した実験のイメージ。顔認証機能を備える4種類の機器を対象に、マスクの種類や装着方法を変えて、認証できるかどうかを調べた。[画像のクリックで拡大表示]表1-1●スマホとWindowsパソコンを使って実験実験で使用した機器とそのカメラの種類。iPhone 12とAndroidスマホは標準の顔認証機能を使った。[画像のクリックで拡大表示]

まずはマスクを着けない状態の顔を顔認証機能に登録し、一般的な不織布マスクを顔に着けて認証できるかどうかを調べた。

結果は、顔認証専用ソフトだけが成功し、iPhone 12とAndroidスマホ、Windows Helloは失敗した(表1-2)。

表1-2●どの条件でも鼻を出せば認証に成功マスクなしで登録した場合の実験結果。マスクをきちんと装着した場合は、顔認証専用ソフト以外は認証に失敗した。一方マスクから鼻を出すと、いずれの条件でも成功した。[画像のクリックで拡大表示]

次に不織布マスクの代わりに布マスクで試した。実験に使ったiPhone 12とWindowsパソコンは赤外線カメラを搭載しているので、布マスクなら顔が透けて認証に成功しやすいかもしれないと考えたためだ。

マスクを着けたままで顔認証が可能か

だが結果は不織布マスクの場合と同じだった。Windowsパソコンの顔認証専用ソフト以外は認証に失敗した。

マスクの着け方も変えてみた。実験ではマスクを下にずらして鼻全体が見えるようにした。マナー違反だといわれている「鼻出しマスク」の状態だ。

この状態では、不織布マスクと布マスクのいずれでも、すべての機器および顔認証機能で認証に成功した。

今回の実験結果から、iPhone 12やAndroidスマホ、Windows Helloではマスクを着けていても、鼻全体が見えるようにマスクをずらせば認証できることが分かった。普段はマスクをしっかり着けていて、顔認証のときだけマスクをずらすようにすれば、感染リスクを抑えつつ顔認証を適切に利用できるだろう。

なお、2年前に同様の実験をしたときは、顔認証専用ソフトでもマスクを着けたままでは認証できなかった。最近では、「マスク対応」を正式にうたった顔認証の製品・サービスが登場している。顔認証は時代とともに確実に進化しているようだ。

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