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ゲーマーを救う…のか?
ゲーマーと環境保護活動の悩みの種となっている、仮想通貨採掘へのGPUの利用。そんな中、Intel(インテル)がビットコインの採掘ビジネスに参入するようです。
Tom’s Hardwareの記者によると、2月20日に開催されるISSCC(International Solid-State Circuits Conference)にてインテルは、新型プロセッサ「Bonanza Mine」に関するプレゼンテーションを行なうそう。そしてこのプロセッサは「超低電圧かつエネルギー効率に優れたビットコイン採掘用ASIC」だとされています。ASICとは「特定用途のために設計されたプロセッサ(Application Specific Integrated Circuit)」の略称です。
実はインテル、昨年にGPU開発の担当者ことRaja Koduri(ラジャ・コドゥーリ)氏がライブ配信にて「仮想通貨発掘に特化したハードウェアを開発している」と発言していました。さらにTom's Hardwareによれば、同社は以前に仮想通貨取引の検証に利用される暗号ハッシュ関数「SHA-256」に関するいくつかの特許を出願しています。
もしインテルが独自の仮想通貨発掘チップをリリースすることになれば、同様のASICプロセッサを製造している中国企業のBitmainと競合することになります。ただしインテルはSHA-256 ExtensionsをIce Lakeプロセサ以降でサポートしているなど、すでにこの分野における経験があります。
これはビットコインの採掘業者にとっては朗報でしょうが、ゲーマーにとってはどうでしょうか。先程のコドゥーリ氏はこれに関して、「ゲーム用の外部GPUは仮想通貨発掘専用のプロセッサとは別にすべきです」と述べています。
「ブロックチェーン技術は、現在のハードウェアサイクルよりもはるかに効率よく実行されるべき処理です」と、コドゥーリ氏。「その役割はGPUではありません。GPUはグラフィックスやゲームなど、別の素晴らしいことをすべきです」
「ずっと効率的なブロックチェーン処理を、はるかに低コストかつ低省電力で行なうことが可能です。私達はそれに取り組んでおり、できればそれほど遠くない未来に、興味深いハードウェアを提供したいと考えています」
これはなんとも心強い発言ですが、インテルは次期GPU「Arc Alchemist」を仮想通貨発掘に利用されないように強くはたらきかけているというわけではありません。NVIDIAやAMDのようにハッシュレートのリミッターを実装しない限り、他のGPUと同じく採掘業者による流用は避けられないでしょう。
Arc Alchemistはインテルにとって数十年ぶりの外部GPUであり、数週間以内にその詳細が明らかにされます。さらにISSCC期間中の2月23日にはBonanza Mineが発表されるかもしれないので、こちらにも注目しておきましょう。