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OPPOは同社初となる折りたたみスマートフォン「Find N」を発表しました。Find Nは本体を横に開く形状で、このデザインの製品はすでにサムスン、ファーウェイ、シャオミの3社が製品化しています。また新興メーカーではRoyoleからも製品が出ており、OPPOは5社目の参入ということになります。
各社の製品には折りたたみ型ならではのメリットやデメリットがありますが、Find Nは「たたんで・広げられる」メリットを活かしつつデメリットを改善し、使いやすい製品に仕上げられています。
驚きなのはその本体価格。RAM 8GB+ストレージ256GBモデルは中国で7699元、日本円で約13万8000円です。
シャオミが今年3月に発表した「Mi MIX Fold」は1万元を切る9999元(約17万9000円)と、折りたたみスマートフォンの価格を大きく引き下げ、話題になりました。サムスンの「Galaxy Z Fold3 5G」は中国での価格が1万4999元(約26万8000円)ですから、シャオミの価格は「格安」とも思えたものです。ところがFind Nの価格はさらに安く、Galaxy Z Fold3 5Gの約半額です。
Find Nのディスプレイは閉じると外側に5.49インチ、縦横比18:9のものを備えます。画面サイズはやや小さいものの、これにより片手でも楽に持て、さらに縦横比も一般的なスマートフォンと同等ですから使用感も折りたためないスマートフォンと変わりません。
同スタイルのサムスンGalaxy Z Fold3 5Gは外画面が6.2インチで25:9比率。ファーウェイ「Mate X2」は6.45インチで21:9比率ですから、いずれもFind Nより縦にワイドな形状となっています。これら2機種は閉じて使うときに「横方向がもうちょっと広いといいな」と思うときもありますが、Find Nなら閉じた状態は普通のスマートフォンの感覚で使うことができるわけです。
一方、Find Nは開くと7.1インチのディスプレイが現れますが、縦方向より横方向が長く、タブレットを横向きに持ったスタイルに近い印象。これにより動画視聴時などは画面を開くだけですぐフルに全画面を使うことができます。Galaxy Z Fold3 5Gは本体を開くと縦方向がワイドであり、4:3のフル表示をするためには本体を90度回転させる必要があります。そういう意味でFind Nは「閉じてスマホ、開いてタブレット」を真に実現した製品と言えるでしょう。
折りたたみスマートフォンの歴史を少し振り返ってみましょう。折りたたみスマートフォンは2019年から製品展開が本格化し、横折り式では、ディスプレイを内側に折りたたむ方式のサムスンと、外側に折りたたむ方式のファーウェイとRoyole、2つの折りたたみ形状が生まれ競い合いました。
しかし、その後参入したシャオミのMi MIX Foldは内側に折りたたむ方式を採用、ファーウェイも2021年のMate X2から同じ方式に変更。その結果、現在唯一外側に折りたたむ方式を採用するのはRoyoleだけとなり、販売先も中国国内に留まっています。
外側に折りたたむ方式は1枚のディスプレイだけで開閉どちらの状態もカバーできるメリットがある反面、一般的なディスプレイより強度の低いフォルダブルディスプレイがたたんだ際の外側に配置されるため、傷つきや破損の可能性が高くなります。横折り式ディスプレイの主流が内折り式となったのはこのあたりの理由が大きいのでしょう。
さて話を戻しましょう。OPPOは後発だけあって各社の折りたたみスマートフォンをよく研究しています。破損防止にもつながる内側に折りたたむ方式を採用したのはもちろんのこと、サムスンのディスプレイに見られるヒンジ部分の「すじ」をなくし、見た目も美しくしました。
Galaxy Zシリーズに見られるこの「すじ」は使っていれば目立たないものの、これから折りたたみスマートフォンを買おうと考えている人たちにとっては購入をためらってしまうマイナスポイントになっているでしょう。折りたたみスマートフォンは価格が高いこともあり、より高い完成度を求める人が多いはずです。
ちなみにファーウェイのMate X2もFind N同様に「すじ無し」のディスプレイを採用しています。しかし本体サイズがやや大きめであり、ディスプレイの開閉もFind Nよりもやや力を加える必要がありそうです。また価格が17999元(約32万円)と高いことやグローバル展開が進んでいないことから、Galaxy Z Fold3 5Gのライバルという存在にはなっていません。Galaxy Z Fold3 5Gは製品の完成度も高いこともあり、現時点で折りたたみスマートフォン市場を独走しています。
この「サムスン一強」の状況の中で登場したFind Nは、折りたたみディスプレイの使い勝手やサイズ感の良さに加え、他社のフラッグシップモデルと変わらない価格からもGalaxy Z Fold3 5Gの大きなライバルになるでしょう。
実際店頭に両者が並べられたら、手に取った人は価格と「すじ無しディスプレイ」だけでもFind Nを選びそうです。
OPPOはFind Xシリーズをフラッグシップモデルとしてグローバル展開を行っていますが、主力モデルとなるのはRenoシリーズ。Find Xシリーズはカメラ性能を高めているものの、OPPOのフラッグシップモデルとしての認知度はまだ低いままです。
しかし、サムスンが完成度の高い製品を投入したことで、折りたたみスマートフォンに興味を持つ人が増えている状況だからこそ、Find Nの価格と性能は、OPPOのブランド力、認知度を高め、実際に折りたたみスマートフォン購入者を増やす効果があるでしょう。当然ですがFind Nの日本投入は「期待」ではなく「必然」です。
最近の中国メーカーの動きとしてはシャオミが次々とコスパモデルを日本市場で出して大きな話題となっています。OPPOは指原莉乃さんの広告起用や性能とデザインバランスに優れた製品を出すことで日本でも知られるメーカーになりました。しかし、派手に新製品の投入を進めているシャオミの存在感は日本でもさらに高まっていくでしょう。シャオミは2021年第2四半期にアップルを抜きグローバルシェア2位となり、その勢いは止まるところを知りません。
OPPOは前日に発表した新型チップ「MariSilicon X」や、すでに多くの機種に搭載している独自の高速充電技術「VOOC」など高い技術力を誇るメーカーです。そこに今回「飛び道具」ともいえるFind Nを投入したことで、その技術力を堂々とアピールすることが可能になります。どちらかといえば価格重視で勝負してくるシャオミへの対抗も十分できるはずです。
スマートフォンで世界シェア1位のサムスンは、2種類の折りたたみ形状のGalaxy Zシリーズ(Fold、Flip)を投入し、折りたたみスマートフォンを次世代の主力モデルにしようとしています。Find Xはその巨人の動きに対して「打倒サムスン」を実現できる製品になるだけではなく、これから参入しようとするメーカーにも価格面で大きな影響を与えるでしょう。その結果、折りたたみスマートフォンの普及が一気に広がるかもしれません。
Find Nは複数アプリの使いがっても高めるなどUIの改善も行われており、価格が安いだけの折りたたみではないのです。
なにはともあれFind Nが日本でも発売される日を楽しみにしたいものです。
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