バルミューダが「スマホ時間を減らし...

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バルミューダが「スマホ時間を減らしたい人向けのスマホ」発売 Hot Topics

スマホを使う時間を短くするための工夫は、「BALMUDA App」と呼ぶ独自アプリの搭載だ。ホーム画面、スケジュール管理、メモ、時計、電卓、カメラの6つがインストールされている。初期状態では独自のホーム画面にこれらのアプリのアイコンが並んでいて、ホーム画面の背景色などはカスタマイズできる。今後別のアプリも追加していくという。

いずれも、スマホでよく利用される基本的なアプリだが、使いやすさに工夫をこらした。例えばスケジュール管理アプリの「スケジューラ」は、ピンチ操作で、1日の予定から年間の予定まで表示範囲を伸縮できる。1カ月の予定を大まかに把握したら、そこからピンチ操作で、1週間や1日の予定をすぐ確認するといった直感的な使い方ができ、スマホの操作に費やす時間を短縮できるという。天気や気温が表示され、Googleカレンダーなど外部スケジューラーとの連携が可能で他のアプリを開く手間もかからない。メモアプリの「メモ」も同様にピンチ操作で表示範囲を伸縮でき、目当てのメモを探し出しやすくなっている。

「スケジューラ」の画面。年間の予定(左)から1日の予定(右)まで、表示範囲をピンチ操作ですばやく伸縮できる[画像のクリックで拡大表示]

基本アプリにこだわった理由を、寺尾社長は「普段使いの使い心地のよさが大事。いいアプリがあれば、同じデバイスでも全く違う使い心地になる。日々使う基本アプリはスマホ体験の重要な部分。考える時間や別のアプリに行く時間を減らし、したいことがなるべく早くできるように、やりたいことに対して素早く答えがでるようにした」と語る。基本アプリは、Android搭載スマホならGoogleのものなど、OSに付属の標準アプリを使うケースが現在では主流だ。そこを独自開発することで、他のスマホとは違う使い勝手をアピールしたい考えだ。

主なスペックは、プロセッサーが米クアルコムのSnapdragon 765、メインメモリーが6GB、ストレージは128GB、バッテリー容量は2500mAh、IPX4(生活防水)対応、OSはAndroid 11で、ミドルハイクラスのスマートフォンといったところ。大手キャリアではソフトバンクが取り扱い、価格は14万3280円、「新トクするサポート」適用で7万1640円になる。SIMロックフリー版は10万4800円で、いずれにしてもスペックを考えるとかなり高額な製品だ。

価格が高くなった要因は、他のスマホと一線を画したデザインや、独自アプリにこだわったことにある。生産や部材調達は京セラに委託しているが、曲線を使ったディスプレーなどの独自部品や、独自アプリの開発に相当なコストがかかっているという。

バルミューダが「スマホ時間を減らしたい人向けのスマホ」発売 Hot Topics

それでも「スマホを使う時間を減らすことで、別のことができるようになる。時間は可能性であり、“体験のバルミューダ”としては、その切り口でスマホを介して皆様とつながりたい」(寺尾社長)と方針を変えるつもりはない。アプリの開発にも力を入れ、これまでにないアプリを提供していきたいという。

ターゲットはバルミューダのファン層にとどまらない。「スマホを、よりよく生きるための補助道具であると考えている人がターゲットの候補。スマホより自分の人生が大事という人に響くと考えている。現状に対して少し疑問をもち、我々の提案に耳を傾けてくれる人にアピールしたい」(寺尾社長)という。

バルミューダフォンは、IT機器やサービス向け新ブランド「BARUMUDA Technologies」の第1弾製品だ。この製品を中心に、携帯電話事業で年内に30億円の売り上げを見込んでいる。新ブランドについて寺尾社長は「家電のバルミューダはポップソング的なもの。バルミューダテクノロジーズは、IT産業のヒーローたちがしのぎを削る世界向けのもので、いわばロックミュージックだと考えている。やることは違うが、根本は同じ“体験のバルミューダ”であり、新しい体験価値を生み出していく」と語る。スマホか、タブレットのようなものか、まだ明かせないが次のデバイスの開発も始まっているという。

スマホやタブレット市場は、米アップルをはじめとする大手メーカーによる寡占が進んでいる。その中でバルミューダが独自路線でどれだけ存在感を示せるか注目される。

カバー、保護フィルム、ACアダプターなどのオプションも用意する[画像のクリックで拡大表示]

(写真/湯浅英夫)

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